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就業規則

マイナンバーを会社に提出しない従業員を処罰できますか

マイナンバーを提供するように従業員を説得することは必要ですが、懲戒処分のような処罰は無理があると考えます

Q、マイナンバーを会社に提出しない従業員を処罰できますか。

A、マイナンバーを提供するように従業員を説得することは必要ですが、懲戒処分のような処罰は無理があると考えます。


昨日、平成27年9月24日木曜日 立川商工会議所主催のマイナンバーセミナーに講師として説明させて頂きました。その際に出た質問が上記の質問でございます。

 今後、マイナンバーを各種手続き書類の作成・届出の際には記載することが「会社の義務」となってきます。もちろん現時点では雇用保険関係から始まり、次は社会保険関係など段階的にマイナンバーを利用する範囲が増えていくことになります。

その際に例えば、従業員がマイナンバーの会社のへの提供を拒否した場合に懲戒処分等の罰を与えることが可能か、などの問題も出てくることが予想されます。

この問題で参考になるのが以下のQ&Aです。

【国税庁HPのQ&Aより抜粋】

問 申告書等に個人番号・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか。

答 申告書や法定調書等の記載対象となっている方全てが個人番号・法人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号・法人番号を記載することはできませんので、個人番号・法人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。

問 申告書等を税務署等に提出する際、個人番号・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合に罰則の適用はあるのですか。

答 申告書や法定調書等の税務関係書類を税務署等に提出する際に、個人番号・法人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、個人番号・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。

以上のようにマイナンバーの記載は「会社の義務」とはされておりますが、記載をしなかったからと言って従業員個人への法的な罰則もなく、また会社に対する罰則もありません。

マイナンバーを提出しないことで何らかの不利益を被るとすればそれはマイナンバー提出を拒否した未来の従業員本人のみとなります。

会社としては従業員のマイナンバーを社会保障・税の各種手続きの際に記載することは義務ではありますが、何度もマイナンバーの提供をお願いしたにも関わらず従業員本人の意思で提供を拒否している以上、会社としては最善の義務は果たしていることになります。

現在のところ会社の義務はそこまでですので、従業員がマイナンバーの提供を拒否したことを理由として「懲戒処分(解雇や減給も含む)」に処することは、困難であり、場合によっては不当な取扱いとされる可能性が高いと考えられます。

また「懲戒規程」ではなく「服務規律」などの規程に記載することで、社内秩序違反として罰することも可能ではないか、との意見もありますが、現在のところなんら判例もありませんので、確実な方法とは言えません。

ここは会社に対する罰則も無い以上、無理に提供拒否の従業員を処罰の対象にするリスクを冒す必要は無いと考えます。

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