- 退職する社員が有給休暇を全て消化したいとのこと。認める必要はあるのか?
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会社には有給休暇の「時季変更権」がありますが、退職する従業員には行使する余地がないため、有給休暇の請求があった場合はまとめて取らせる必要があります。
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Q、退職する社員が有給休暇を全て消化したいとのこと。認める必要はあるのか?
A、会社には有給休暇の「時季変更権」がありますが、退職する従業員にはこれを行使する余地はありませんので、有給休暇の請求があった場合はまとめて取らせる必要があります。
2019年4月より有給休暇5日取得義務が開始されます。
このような有給休暇に関するご相談で退職する予定の社員がまとめて有給休暇を取得したいと言い出した、このようなご相談はよくあります。
もちろん有給休暇の日数が数日の場合ならば問題にはなりませんが、来月退職の社員が残りの有給休暇40日分を請求してきた場合などは、2ヶ月間、1日も出社することなく退職することになります。
このような場合に会社としてはどのように対処すべきなのでしょうか。
有給休暇の請求に対して、会社は「事業の正常な運営を妨げる場合」に限って「時季変更権」を行使できるとされていますが、これは変更できる労働日が他にあることが前提です。
当然、退職日を過ぎての時季変更は到底不可能ですから、退職日までの所定休日を除く全ての日数で有給休暇を当てはめることができるような場合、時季変更はできないため有給休暇の取得を認めるしかありません。このため有給休暇の取得を拒否する、または使わせないことは法的には困難です。
それでは、有給休暇をまとめて取得された場合に一番困るのは「引継業務」です。
有給休暇をまとめて取得してしまい出社せず、引継業務が滞ることへの防止策はないのでしょうか。
この場合、社員が退職する際の「引継義務」を就業規則に明記し、さらに引継義務を果たさず事業の運営に支障を生じさせた場合の退職金減額・不支給規定を終業規則又は退職金規程に明記します。
就業規則等に「引継義務」を明確に定めることによって法的な会社のルールとしてはっきりさせるためです。
もちろん実際には引き継ぎをしなかった場合の会社の損害と引継義務違反と損害額についての関係性を会社が証明することになるため法的な追求は難しいです。またそもそも「退職金」の制度が無い会社の場合には従業員にとってはマイナスにはなりません。
ただし就業規則に「引継義務」が規程されていることにより、社員からの一方的な有給休暇取得の請求にある程度の制限をかけることが可能となります。
この問題の解決方法として有給休暇の買い取りなどの方法や休日出勤命令などの方法もありますが、これらはまた別の機会に説明していきたいと思います。
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