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労働問題

退職する社員から有給休暇を買い取ってほしいとのこと。買取る必要はあるのか

退職後に未消化で残ってしまう有給休暇を買い取ることは会社の任意です。買い取っても、買い取りを拒否してもどちらでも問題ありません。

Q、退職する社員から残っている有給休暇を買い取ってほしいとのこと。会社は買取る必要はあるのか?

A、退職後に未消化で残ってしまう有給休暇を買い取ることは会社の任意ですので買い取っても、買い取りを拒否してもどちらでも問題ありません。

前回のご質問でありました、「退職予定社員がまとめて有給休暇を取得を希望」とも関連したご相談です。

退職者の有給休暇の「全て」を必ず取得させないといけない、との法律はありません。あくまで有給休暇を請求してきた場合にどうすべきか、ということになりますが、退職者が請求してきた有給休暇の使用に関しては

●退職日を過ぎての時季変更は不可能ですから、有給休暇の取得を認めるしかありません。このため有給休暇の取得を拒否することはてきません。

となります。

とは言え引き継ぎ業務も残っている時に有給休暇で休まれては会社も困ります。その場合に引き継ぎ業務を命じることで残ってしまう有給休暇をどのように処理するかが問題となります。

もちろん退職日が決定している場合は消化することはできませんので、

●残った有給休暇は会社と退職者の合意のうえで買い取る

とすることが退職者も納得しやすい落とし所なのではないでしょうか。

この場合の買い取り金額に法的な定めはありませんので5千円でも1万円でも会社と退職者の合意で決めることができます。(多くの会社では1日分の賃金とする場合が多いです)。
ただし注意すべき点としては会社からの買い取り強制はできない、という点です。
「5日分は買い取ってやるから、出勤して引継ぎしろ」というのはNGで、あくまで会社と退職者の双方が納得した形が大切です。

退職時の有給休暇と引継問題に関して重要なのは退職となってからではなく、常日頃の人事労務管理として、以下のようなことを取り入れることも大切かと思います。

1、普段から年次有給休暇の取得を推進し、可能な限り繰越のでないように徹底する。

2、年次有給休暇の5日を超える部分については、会社として「有給休暇の計画的付与」の制度を利用して会社指定日に取得させ、過度に残ることのないように工夫する。

3、退職の申し出は、1ヶ月以上前に申し出ることを「就業規則」で定める。

4、退職日まで引継ぎ期間として、就労する引継義務を「就業規則」で定める。

5、退職金のある会社では業務の引継ぎをしなかった場合には懲戒処分等とし、退職金を減額する規程を「就業規則」で定める。

6、退職者の同意を得て、引き継ぎによって残ってしまう年次有給休暇については買い上げてしまう。

退職時のゴタゴタから引き継ぎが上手くいかず、会社の信用を落としてしまったり、取引先に迷惑がかかってしまったり、ということは何としても避けたいところです。
そのためにも就業規則等でのルール化と普段からの人事労務管理が重要となります。

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