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労働問題

不正に通勤手当を申告・受給していた社員を懲戒解雇にすることは可能ですか

A、金額・悪質性などを考慮して懲戒処分は可能です。またその内容によっては懲戒解雇も可能となりますが就業規則等での規程も重要です。

Q、バス通勤とのことで通勤手当を支給していた社員が実は自転車通勤しており、不正に通勤手当を得ていたことが判明しました。これを理由に懲戒解雇は可能でしょうか。

A、金額・悪質性などを考慮して懲戒処分は可能です。またその内容によっては懲戒解雇も可能です。

本来通勤にかかる費用は労働者が負担すべきものですので、通勤費の支給の有無はそれぞれの会社に任されています。
しかし、社員の福利厚生の一環として住所や通勤経路を提出させたうえで、合理的な経路による通勤費用を賃金の一部として支給する会社が大半だと思います。

通勤手当は実際にかかる費用を支給する仕組みなので、使っていないならば返還しなくてはなりませんし、また本来使用していない通勤手当を払うことになれば、「会社に経済的損害を与えてはならない」という労働契約上の信義則に違反します。また、自転車通勤なのにあたかもバスなどを利用していることにする、実際の通勤経路と違う経路を利用していることにして過大な通勤費用をもらう、などの場合は通勤経路の虚偽申告になります。

このため不正受給した金額の大小や故意・悪質性によって、始末書提出や減給、降格などの懲戒処分を検討することが必要となります。
実際は悪質性の程度にもよりますが、初回の発覚時には、けん責、訓戒~減給等の軽度の懲戒処分で対応。それでも再度、不正受給が発覚した場合には、解雇などの厳しい対応を検討するという流れが一般的かもしれません。

とは言え、何も通勤手当の支給ルールが無い場合などは、懲戒処分も困難です。やはり就業規則に通勤費支給の基準や方法、通勤費の不正受給が発覚した場合の返還請求期間、処分などを定めておくとよいでしょう。通勤手当の事後の確認として、定期券のコピーや領収書を提出させる会社もあるようです。

会社が社員の不正な行為により過払いとなった賃金の返還請求をする場合は、民法上の不当利得返還請求権に基づいて行うことになりますので時効は10年間となります。

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